産業医とは、事業場において労働者の健康管理等について、専門的な立場から指導・助言を行う医師を言います。労働安全衛生法により、一定の規模の事業場には産業医の選任が義務付けられています。
目次
産業医の職務
産業医の職務は、労働安全衛生規則第14条第1項に規定されており、具体的には次の事項で、「医学に関する専門的知識を必要とするもの」と定められています。
- 健康診断及び面接指導等(法第66条の8第1項に規定する面接指導及び法第66条の9に規定する必要な措置をいう)の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
- 作業環境の維持管理に関すること。
- 作業の管理に関すること。
- 前3号に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること。
- 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
- 衛生教育に関すること。
- 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。
また、産業医の職場巡視等について、労働安全衛生規則第15条第1項で次のとおり定められています。
産業医は、少なくとも毎月1回(産業医が、事業者から、毎月1回以上、次に掲げる情報※)の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2か月に1回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
※(1)衛生管理者が少なくとも毎週1回行う作業場等の巡視の結果
(2)労働者の健康障害を防止し、または労働者の健康を保持するために必要な情報であって、衛生委員会または安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの
産業医の役割
- 健康障害の予防・早期発見
- 就業上の配慮案の提示と合意形成
- 作業環境・作業方法の改善提案
- 企業・労働者の双方に配慮した中立的な助言
選任の目安
- 常時50人以上の労働者がいる事業場は産業医の選任が必要です。
- 規模や業種により、専属と嘱託の区分があります。
- 50人未満でも、高リスク業務や健康課題が多い場合は導入が有効です。
主な業務
法令に関わる領域
- 健康診断の事後措置(結果確認、受診勧奨、就業上の意見)
- 長時間労働者の面談指導
- 職場巡視(定期)
- 衛生委員会への出席・意見陳述
- ストレスチェック体制の助言・事後面談・集団分析の読み取り
実務での支援領域
- メンタルヘルス対応(早期相談、主治医連携、再発予防)
- 休職・復職支援(復職判定面談、段階的復帰プラン、フォロー面談)
- 生活習慣病対策(要再検者のフォロー、保健指導、外部機関連携)
- 健康教育・衛生講話(睡眠、喫煙、腰痛予防、ハラスメント防止 など)
運用形態
- 専属:大規模事業場などで常駐に近い関与
- 嘱託:月1回の定期訪問+必要時のオンライン対応など柔軟な運用
- スポット:個別面談・講話・制度設計のみの単発依頼
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